最近話題のグリーンローン。
グリーンローンの補助金は事業者や自治体を対象に、環境保護を目的とした活動に必要な資金調達のために用いる融資のことです。
日本では環境省が主体となり「地域環境保全対策費」という名目で補助金を出しています。
ですから、例えばあなたが「家を買いたい」「自家用車を購入したい」という場合には、対象とはならないため、残念ながらこれは使用できません。
グリーンローンは、地球上の環境を今後も守ってゆくために、環境保護ができる持続可能な経済活動を促進して未来の環境を保護する、という目的をもつプロジェクト。
例えば「再生可能エネルギー」「省エネルギー」のような、経済活動を今後も続けてゆくために必要なエネルギーを地球にやさしいものにしたり、環境汚染を最小限にとどめられるような廃棄物処理開発のために使ったり、土地や水の管理をして地球上の生物を守ったり。
そうしたことを目的・目標とする企業や自治体の活動や運動を推進するために使われるように、国をあげて支援をしますよ、というものなのです。
今回は、その内容についてちょっとお話しや解説などをいたしますね。
グリーンローンの原則は環境保護を目的とした自主的ガイドライン
さて、そのグリーンローンを利用する場合には、共通の根本的な法則である原則があります。
環境省のグリーンファイナンスポータルのページを見ると、和訳され解説されたものがありましたので、そちらも併せてご紹介します。
「グリーンローン原則」
http://www.env.go.jp/policy/参考資料3-2グリーンローン原則和訳.pdf
8ページほどのpdf資料ですが、かいつまんで説明しますと、
グリーンローン原則(GLP)とは、その利用に関する自主的ガイドラインのことです。
使途や用途に一貫性を持たせ、金融市場によって同条件であるのに「あれには貸す」けれど「あちらには貸さない」というようなことにならないように、策定されているものです。
その主な核となる内容は、
- 調達資金の使途
- プロジェクトの評価と選定のプロセス
- 調達資金の管理
- レポーティング
という4つの項目からなり、これは2018年に国際資本市場協会のグリーンボンド原則(Green Bond Principles)を参照に作られたものです。
それぞれをもう少し解説すると、このようになります。
調達資金の使途:
- 資金はすべて環境保護目的のために使われること。
- その目的が申請するための書類や資料に適切に記載されていること。
- 調達先のすべてのプロジェクトは、明らかに環境に良いものであること。
- その効果が評価されること。可能なら数値などを使用して示されること。
プロジェクトの評価と選定のプロセス:
- プロジェクトがその適格な事業区分に含まれると判断するまでのプロセスの記載
- 判断した根拠となる基準(リスクを特定し制御するために適用される過程も含める)
調達資金の管理:
- 借入した資金は専用勘定に入金するなど、追跡できるようにすること。
- それによって透明性を保ち続けること。
- 資金を分けて使うときも、其々が環境保護のためであることを明確に示すこと。
- それらすべても個別に管理されること。
レポーティング:
- 資金使途に関する最新の情報を容易に入手できる形で開示し続けること。
- 借入金がすべて引き出されるまで、年に一度以上その情報を更新すること。
- それ以降も重要な事象が生じた場合は必要に応じて開示し続けること。
- そこには資金を充当したプロジェクトのリスト・概要・資金額・効果を含めること。
代表となる内容を簡単に挙げましたが、それぞれについてさらに詳しい規定もあります。
ですが、これらすべてが示しているのは、すべて
- 借りたお金は全部環境保護のために使ってくださいね
- それを誰でも確認できるように、用途やお金の流れをすべて示してくださいね
- 出た効果についても教えてくださいね
という、本当に原理原則そのものであり、手段や方法なのです。
これらを誰でも自由に閲覧できるように表明、表示しておくことで、不正に利用されたり無駄なく資金を活用できたりするようにしているということなのですね。
グリーンローンとグリーンボンドの違いは資金の調達方法の違い!?
グリーンローンとグリーンボンドの違い、それはグリーンローンが開始されるさらに以前から行われている、環境保護事業のための資金調達方法です。
それらふたつの違いを簡単に書くと、
グリーンローン:
事業者や自治体が金融機関から資金を借りて、環境保護のために使用する。
グリーンボンド:
環境保護を実施する予定の企業が債権を発行して、資金を集める。
という具合になります。
環境保護のために何らかの活動を行います、技術や製品を開発します、という目的は同じですが、団体がそのための資金を融通する手段がこの2通りありますよ、ということなのです。
ただ、先行のグリーンボンドは大規模な資金調達ができる大企業などのものだったのに対して、後から出てきたグリーンローンは比較して小規模の資金調達手段として使い勝手が良いこともあり、近年はグリーンローンの利用率が高まっているのです。
まとめ
地球環境を保全したい。
エネルギー効率を良くしたい。水や大地の汚染を防ぎ、そこに生きる生物の多様性を守りたい。
そうした意識を持つ自治体や、大企業から小規模の店舗までを対象に、そのための資金を調達することを容易にして、自然、活動に参加できる人を増やしてゆくというのは、未来に向けてのとても大切な取り組みの中でもとても良い流れを作ることと同意だと私は思います。
私がこの言葉を知ったのも本当に最近のことではありますが、今後もこうした国家レベルの取り組みには特に注目していきたいと思っています。
個人としては単なる一消費者であっても、こうした環境保護や保全活動に参加している企業や自治体の商品を購入したり、活動を応援したりすることは、未来のためになる行動と言えるのですから。