スプレー缶の穴あけが怖い…中身が入っていたら爆発しそうで余計に怖いと思っている方は基本的に、
- ガスが無くなるまでガス抜きする
- 穴をあける
- 地域の方針に従って規定の日、場所に正しい方法で捨てること
という流れで廃棄するのが当然とされてきました。私も昔、祖母や母からそう教わりましたし、実際にそうやってきました。
これを踏まえて、では実際にスプレー缶を捨てるときに「しなければならない」必要なこととは何なのか。
そのことについて今回はお話しますね。
スプレー缶の穴あけの時に中身ありの危険な事例から学ぶ事とは!?
このスプレー缶、中身がまだ残っているようだけれど、捨てたい…
理由は様々でも、そういうことってありますよね。
こんなとき、穴をあけてしまえば、ガスもちゃんと抜けるし安全じゃない? とそう考えてしまったりもしたくなります。
でも、いきなり穴あけをしてしまっては絶対にいけません。とても危険です。
この時まずやらなければならないことは「中身をすべて出し切ること」なのです。
なぜなら、缶の中身(主に噴出用の圧縮されたガスと内容物)がある状態で穴をあけると、その穴からとてつもない勢いで中身が噴出してしまうからです。
そうすると何が起きるか。
噴き出した缶の中身が勢いよく目に入る可能性が。また、穴をあけるときに火花や静電気が起きて噴き出したガスや内容物に引火して火災が起きる可能性だってあります。
そうしたとても危険な事故が、数は少ないながらも、これまでに実際に起きてきました。
その事例が記載された資料を見つけましたのでご紹介しますね。
平成26年7月24日の「独立行政法人国民生活センター スプレー缶製品の事故に注意 ―コールドスプレー使用時とスプレー缶の穴開け時の事故も発生―」です。
(国民生活センター「スプレー缶製品の事故に注意」のPDF資料)
こちらの資料の5ページには「穴あけによる事故」として、引火の例と内容物が顔(目)にかかった例とが挙げられています。
また、9ページから11ページには実際に、中身が入ったスプレー缶に釘やニッパーで穴を開けたらどのように中身が噴出するのかという実験の様子と結果とが、写真つきで詳細に説明されています。
そして同時にそこには、「中身の残量がほぼゼロになった状態になってから穴を開けると、ほぼ中身は噴き出さない」という実験結果もありました。
とてもわかりやすく参考になりますね。
それでは実際に残っている中身をどうすればいいのかをご紹介します。
大事なのは、可能な限り安全に中身をすべて出しきってしまうことです。たとえば、
- 汚れても構わない、可能なら静電気の起きにくい衣類、手袋、マスクなどを着用する
- ガスや中身がその場に留まらないように、風通しのよく、火の気のない屋外で行う
- 大きめのビニール袋を用意して、中に新聞紙やトイレットペーパーなどの吸水性の高い紙類を入れておく
これくらい入念に準備をして、スプレー缶を袋の中に向けて噴出させるようにすれば、比較的安全に中身を空にすることができるはずです。
また、制汗剤のスプレーなど安全性が高いものの場合は、屋外でそのまま放出させてしまうことも可能ですが、やはり安全性を確保するためには上記のような手段を取った方が安心です。
私にとって今回お話した内容はとてもタイムリーなもので、ちょうど先日、鏡台の奥の奥からもうすっかりその存在を忘れていた、大きな緑のヘアスプレー缶が登場してしまいました。
まだ中身が半分ほども残っているのであろうこれをどう処理するべきかと悩んで調べたところだったからです。
だいぶ昔に購入したヘアスプレー。
中身については詳細に調べませんでしたが、一応、ガスも内容物も可燃性のものだろうという前提で、上記でご紹介した通りの方法で処分しました。
穴はおそるおそる、昔ながらの釘と金槌で「カンとひと打ち」する方法で開けましたが、やはり中身をすでに空っぽに近い状態にしていたためか、シュッとガスが抜ける音がしただけで何かがそこから噴き出してくるようなこともありませんでした。
正しい知識を得られていて本当に良かった…と思います。
スプレー缶は穴をあけないで捨てることも出来るって本当!?
実は現在、この「穴をあける」はしなくともよいという流れになってきているのです。
なぜならこれまでにそうした行為による事故の事例が複数あるから。
環境省では平成21年以降、エアゾールのスプレー缶廃棄の場合には穴あけない方が望ましいと市町村に指導していて、自治体によってはすでに「穴をあけずに廃棄してください(※ただし中身は空にすること)」と広報しているところも多いようです。
詳しくはその地域の自治体に問い合わせて聞くと良いですよ。
それと、経済産業省製造産業局化学課の調査では、近年作られているスプレー缶は(小型で必要がないとされる一部を除いて)約99%に、中身を簡単にすべて出し切ることができる機能を付けているそうです。
まとめ
スプレー缶の穴あけをする時に私の例のように、使用途中でしまいこんで劣化させてしまったり、処分するときに困惑する時があります。
さらにはスプレー缶の中身を出したり、穴をあけるかどうかで迷ったりするような商品は、できるかぎり「必要なときに必要なだけ」購入し、その都度適切に廃棄することを心がけることが一番大事なのかな、と思いました。
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