日本の年末の恒例行事、お餅つき。
歳神様をお迎えするための大事な行事として、今も日本各地で行われています。
そのとき、搗いたお餅はまず神様のためのお鏡様、鏡餅にして、その後に人が食べるための分として取り分けました。
取り分けたお餅を平らな板状にのばしたものが、のし餅と呼ばれるものです。
のし餅の「のし」とは「伸し」あるいは「熨し」で、「広がるようにのばす」「(重さや力を加えて)物をのばして広げること」。
まさしく名前そのままの意味なのですね。
平たくのばしたこの「のし餅」は、その後少し置いて固まってきたところで食べやすいサイズに切り分けて使います。
でもこの「のし餅」は主として東日本に多い習慣だそうです。
西日本では搗いたお餅を最初からひとつずつ取り分けて丸めて、「丸餅」にすることが多いようですね。
のし餅と切り餅の違いは無くて一緒!?ではその意味は何が違う?
先ほど「のし餅」のお話をしたときに、固まってきたところで切り分けると解説しました。
そのひとつずつになった四角いお餅が「切り餅」です。
こちらも名前の意味の通り、切り分けたお餅だから「切り餅」なのですね。
だから「のし餅」と「切り餅」は成分や素材などに違いはありません。
のし餅を切り分けたものが切り餅です。
のし餅の食べ方はそのままでは食べられない!だから切り餅で食べる!
のし餅はお餅つきの都合上、たいてい1升分のもち米から作ります。
家庭用のテーブルサイズの餅つき機なら1合や2合から作れる場合もあるようですが、昔ながらの餅つきをする場合は臼や杵のサイズからたいてい1升、あるいはそれ以上の量に向くようになっています。
1升=10合。
ご家庭では普段お米を3合なり5合なりで炊くことが多いと思いますが、そこから考えてみるとどれくらいのサイズ、大きさになるかは察することができるかなと思います。
ちなみにお米ももち米も1合でだいたい150g。1升となると約1.5㎏になりますね。
それをだいたい1.5~2㎝の厚さに伸ばした板状の「のし餅」。
さすがにこれはそのまま齧りついて食べることはできません。
だから、切り餅にして食べるのです。
切るときには、おそらくのし餅はとても硬くなっているので、包丁をお湯につけるなどして温めてから切ると切りやすくなりますよ。その場合は水分がお餅にうつらないように、包丁をよく拭いてから切ると、その後に保存するときも安心です。
可能な場合は、のし餅をつくってまだ柔らかさが残っているときに、のし餅を入れた袋の上から調理箸などで切れ目になる部分に溝を作っておくなどしたり、あるいは切り分けたりしてから保存する方が、固くなってしまったのし餅と格闘するよりも楽ですね。
そして食べ方は自由自在。
もしあなたが自宅で搗いてのし餅にして、搗きたて切りたてを手にできるのなら、そのまま齧ることだってできます。
切り餅のサイズはたいていお椀に入るようにしますから、お雑煮に入れることもできますし、ちょっと焼いてふっくらふくれてきたところで取って、お醤油やお味噌、辛味大根をおろしたものや納豆、甘いものがお好きな場合は餡子や黒蜜で食べたってかまいません。
しかし食べすぎにはご注意。
今ちょっと調べてみたところ、切り餅は1個で約50g前後のサイズにすることが多いので、だいたいそれだけで120キロカロリー程度、糖質も25gほどになるようです。
確かにお餅はもち米を蒸して突き固めてつくるのですから、古来より続く日本人の栄養満点の御馳走なわけですが、しっかりとカロリーも摂取できてしまうため、栄養に溢れた食生活をおくる現代人にとってはなかなか美味しくも悩ましい食品なのです。
実はのし餅のお取り寄せが出来る!しかもバラエティ豊富で面白い!
もちろん、のし餅をお取り寄せで購入することも可能です。
年末には特に、でも今でしたら年末に限らず一年中扱われていることも多いですね。
たった今も、Amazonや楽天あたりの通販サイトさんで「のし餅」で検索しただけで何ページ分も出てくるので私も驚いてしまいました。
実際に見てみると、サイズも1升に限らず色々。
シンプルに板状だったり、切れ目が入っていたり、実際に切り分けられて切り餅になっていたりと形状も色々。
さらにはヨモギやキビに大豆、黒大豆、青海苔などが入ったものもありました。
とてもバラエティ豊かで、お好みに合わせて好きなようにチョイスできるというのはとても嬉しいことですね。
まとめ
祖父母が生きていた頃は、私の実家でも年末にお餅つきをしていました。
祖母が蒸かしたもち米を、祖父と叔父がメインになって搗いて作っていたのを覚えています。私の両親は外で勤めていたので日中の餅つきに参加できることはあまりありませんでしたが、手伝いとして学生だった私がよく駆り出されていました。
搗いたお餅からは、やはりまずお鏡様(鏡餅)をつくるのですが、搗いたばかりのお餅はまだやわやわとして形にしづらいので、鏡餅の1段目と2段目になる部分を作ってしばらく置き、やや固まってきたところで重ねて三方に乗せて、床の間に飾りました。
この鏡餅の分をつくった後で人が食べる分のお餅をつくるのですが、面白いことに中部地方にある私の実家では、東日本ののし餅と西日本の丸餅、両方を作っていましたよ。
おそらく特に何か意味や由来があるわけではなく、のし餅にする分は、ついたお餅をそのまま一升が入る袋にいれて綿棒でのばし、口を閉じてそのまま保管用にして。丸餅にした分は、その場で色々な味をつけて食べたりしたわけです。
蒸かしたもち米の湯気。餅取り粉をはたいた台や手のひら。柔らかくて熱かったお餅。
とても懐かしい思い出です。
コメント