ちょっと流行になった炭酸水。自分もよく飲むから家で簡単に作れたら嬉しい。
あるいは、お掃除用に使っている重曹水がちょっとだけ足りなくなって必要だから、このペットボトルの炭酸水を使ったら代わりにならないかな?
そういうことを考えたことがある人は多いですよね。
でも実は、市販のペットボトルなどでおなじみの飲料である炭酸水と、重曹を溶かした水とでは成分がまったく違います。
それらの炭酸水と重曹の違いで異なっている部分を簡単にあげてみると、
- 炭酸水:炭酸(二酸化炭素=H2CO3)を含む水のこと。酸性。
- 重曹水:重曹(炭酸水素ナトリウム=NaHCO3)を溶かした水のこと。アルカリ性。
炭酸水は飲んでみると、細かい気泡の刺激があって、味はほぼありません。
でも重曹を溶かした水を飲んでそれと比較してみると、しょっぱさを感じるはずです。
そしてまた、酸性とアルカリ性の違いは大きいですね。
炭酸水の酸性については摂取制限など無いようなものですが、重曹水は大量に摂取するとアルカローシス(血液がアルカリ性に傾いた時に酸性に戻すようにする状態)を起こすことがあるので注意が必要なのです。
炭酸水に重曹を入れると泡が出るけど強炭酸にはならない!?
炭酸水に重曹を入れると、しゅわしゅわとした泡がたくさん出てくるのがわかります。
でも実はこれは化学反応ではなく、炭酸水が重曹の細かい粒子と接触したために泡が発生、あるいは温度差がその主な理由なのです。
実際に、炭酸の感じを強くしてみたくて、試しにやってみたことがありますが、入れたところで少しの間だけ泡がちょっと勢いよく出てくるものの、すぐにおさまってしまって拍子抜けした記憶があります。
そしてまた、炭酸が強炭酸になるというわけでもありませんでした…
炭酸水の原料として重曹を使う事が出来るって本当!?
実は、炭酸水の原料に重曹を使う事ができるのです。
それは、重曹に化学反応を起こさせて炭酸、すなわち二酸化炭素を発生させることで可能になります。
その方法としてよくあげられるのは、クエン酸を使うこと。
これは柑橘類などによく含まれていて、柑橘類の酸味のもとになる成分です。
重曹(食用)と同じく市販もされているので、入手もしやすく便利です。
このときに使用できる酸性の食品で入手しやすいものには酢などもありますが、飲料とするのならば、やはりクエン酸が味として使いやすいですよ。
化学式で考えると、クエン酸:重曹=1:3、となる割合が最も望ましいのですが、この場合は重曹に含まれているナトリウムで塩味が強くなるため、飲みにくいという話もあるようです。
溶け残りなどを気にしないのならば1:1くらいの割合で、クエン酸の方をやや多めにすることで味が整いますよ。
ですので、それぞれの量は
「クエン酸1~1.5g:重曹1g:水100ml」
程度を目安にすると、ちょうど良い量が計算しやすくなります。
そして実際の作り方としては、クエン酸を水に溶かしてから重曹を加えてかき混ぜる、あるいは粉末2種類を混ぜ合わせてから水を注ぐという方法が良いようです。
さて、ここでひとつ注意。
これも最初に書きましたが、重曹には大量に摂取すると体調不良を引き起こす可能性があります。調べてみたところ、参考になりそうなページがありましたのでご紹介しますね。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構のページです。
炭酸水素ナトリウムと重曹は同じ?実は略称が名称になっている!?
最初のところでお話したように、炭酸水素ナトリウムと重曹は呼び方が違うだけで、まったく同じものです。
というのも、炭酸水素ナトリウムの別名は「重炭酸曹達(じゅうたんさんそうだ)」。
これを略した名称が「重曹」なのです。
これは今調べてみるまで私もまったく知りませんでしたが、そのまま略称が名称になっているのですね。
それと炭酸水素ナトリウム、すなわち重曹には、胃酸と反応して炭酸(二酸化炭素)を発生させたり、胃の運動を活発化させたりという具合に刺激するため、よろしくないという面もあるようです。
そしてここで注意すべきなのは「用法及び用量」の欄。
通常成人1日3~5gとなっておりますので、これに順じて最大で1日5gまでにしておいた方が健康上の問題を起こしにくいと考えられます。
また、ナトリウムが含まれていることから、塩分制限を要する人なども摂取量に気をつけた方が良いようです。
まとめ
炭酸水と重曹水は、成分が全く異なるものです。
でも、重曹はそれでも便利な物質です。
アルカリ性という性質を利用して、固まった油汚れを落としたり、血液の汚れを落としたり、また見える汚れだけに効果があるだけではなく、脱臭効果があったり。
さらに料理にはベーキングパウダーとして重曹を使ったりもします。
というのも、重曹は酸性の物質と反応させるのと同じく、加熱でも化学反応を起こして二酸化炭素を発生させることができるから。
クッキーやパンケーキを焼くときに生地の中で気体を発生させてふっくらさせることはもちろん、山菜やタケノコのアク抜きに使うこともできるのです。
そういえばこの記事を書くにあたり家族にちょっと聞いてみたところ、なかなか面白い昭和の知恵をひとつ教えてもらいました。
むかし、夏ミカンやグレープフルーツがすっぱくて食べづらいときに、重曹をふりかけて食べたそうです。
こうすることですっぱさを中和させて抑え、美味しく食べられたと話してくれました。
色々と便利なこうした素材、その性質や利用法をよく理解して、これからも様々なものに利用していきたいものですね。
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