毎年、この時期になるとよく報道される、琵琶湖での水難事故のニュース。
しかも、かなり多い件数です。
なぜ海ではなく琵琶湖で、こんなにたくさん事故が発生するのでしょうか?
その理由は海と湖の環境の違いにあります。
この記事では、琵琶湖での事故の原因やどうすれば事故を防げるかを考えていきたいと思います。
近年の琵琶湖での事故の状況
琵琶湖における水難事故で亡くなった方の人数は以下の通りです。
- 2019年8月現在6名
- 2018年 9名
- 2017年12名
事故にあった方の多くが滋賀県外から来た方で、事故の発生場所は湖西岸側に集中しています。
琵琶湖の水難事故が起こる特有の危険性
みなさんご存じのように、琵琶湖は海と違って淡水です。
塩がないので、身体がベタベタしたり髪がゴワゴワになることもありません。
しかし、淡水であるがゆえの危険性を知っていますか?
それは、海と違って浮力が少ないので身体が思うように浮かないということです。
「溺れかけたら浮いて待て」とよく言われますが、その「浮く」ことがまず困難なのです。
淡水では、手足の動きを止めるとまっすぐ水面下に沈んでしまいます。
海では簡単にできる立ち泳ぎも、琵琶湖ではかなりしんどいと言う人もいます。
さらに琵琶湖の特徴が水温です。
表層部と湖底では、極端に水温が違うのです。
深いところでは真夏でも氷水のような冷たさで、身体が硬直してパニックになる可能性があります。
時には下半身の筋肉が硬くなり、つってしまうこともあります。
また湖西側では湖底に石が多く、苔がついているので滑る危険があります。
滑ったことにより慌てて溺れてしまう人が多くいます。
苔だけではなく藻もたくさん生えています。
湖に飛んでいったビーチボールを拾おうと泳いだ際に、藻に足をとられて水面に上がってこれず、亡くなってしまった方もいます。
水深が急に深くなるというのも琵琶湖の特徴です。
浅いと思ってどんどん歩いていくと急に深くなり、さらに水温も低くなるのでビックリして精神的に動揺し心臓麻痺を引き起こすことだってありえます。
風が強く吹く日も多いので、それに伴い波が高くなりあっという間に流されてしまうこともあります。
こういった条件が重なってしまったとき、自力で湖岸まで泳いで戻れる人がいったいどれほどいるでしょうか?
なぜ地元民は琵琶湖で泳がないの?
それは、滋賀県民は琵琶湖の水泳がいかに難しいか、いかに危険かを知っているからです。
滋賀県の小学生は、琵琶湖での遠泳大会やフローティングスクールという学習で琵琶湖について学んでいます。
プールでたくさん練習し自分は泳げると思っていても、いざ琵琶湖に入ると、プールにはない藻や波などによって思ったように泳げず、怖い思いをしたという方がいます。
家族で一度だけ行ったけれど、親が琵琶湖をあれこれと見て回って確認した上で、中に入っていって泳ぐのはダメだと言い、それ以来は海水浴にしか行っていないという地元民もいます。
そういった実体験から、琵琶湖の危険性を学習しているのです。
水難事故にあった方がほぼ県外からの観光客という結果からも、滋賀県民の意識の高さがわかります。
琵琶湖でどうすれば事故を防ぐことができる?
琵琶湖で泳ぎたいという方は、淡水で泳ぐときにどういった危険性があるかを十分に知っておくことが重要です。
また大人は子どもにそれらをしっかりと伝えましょう。
そして、家族連れの場合は子どもから目を離さないことです。
例えば、琵琶湖に遊びに行くとき、バーベキューも一緒にする人が多いです。
大人が肉を焼いたり、おしゃべりに夢中になっている間、子どもは水辺で遊びます。
大人は誰かが見てくれているだろうと思い込み、子どもからつい目を離す…
小さな子どもが溺れるとき、本人は自分が溺れていることに気が付いていない様子でゆっくり静かに沈んでいきます。
プールで子供と泳ぐ練習をしていた際に、子どもがスーッと目を開けたまま沈んでいき、慌てて抱き上げたけれども、本人は何が起きたかわかっていない様子だったので驚いたことがあります。
このとき、子どものそばにいたとしても一瞬でも目を離すことがいかに危険なことかを学びました。
また上記で述べたように、大人ですらうまく泳げない琵琶湖で、溺れてしまった子を助けにいくのがいかに困難か、わかりますか?
昔泳げたからといって、自分は大丈夫と過信することは禁物です。
まとめ
琵琶湖に行ったことがある人や地元民には当たり前のことでも、行き慣れていない人にとっては知らないことが多かったと思います。
琵琶湖での遊泳は関西圏ではメジャーなので、毎年多くの観光客が訪れます。
たくさんの人が行っているから、自分も同じように遊んで大丈夫!と思ってしまうかもしれません。それはとても危険な考えです。
何にせよ、レジャーに出かける際は、念入りな下調べや下準備が必要不可欠と言えます。
大人が知識を深め、危機意識をしっかり持ったうえで、琵琶湖での湖水浴を楽しんでほしいと思います。
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