ボーナスに税金はおかしい?その理由は制度的な意味合いにある!?

ちょっとした話題

とっても嬉しい臨時収入のボーナス。

でもその明細を見ると、ついついわいてくる疑問…

 

「ボーナスなのに、なんで普通のお給料みたいに税金がかけられちゃうの!?」

きっとあなた以外にも同じようにおかしいと思っている人は多いはず。

 

私もそう思っていました。

 

なぜボーナスに税金がかけられるのか。

その答えは、時代とともにボーナスが、その意味合いを変えてきたことにあるのです。

 

ボーナスというよりも賞与という名称がふさわしい昭和の頃、ボーナスとは本当に「臨時収入」という意味合いが強いものでした。

 

会社で何か特別に大きな収入があった場合に、従業員にもと還元される。そういうものだったのです。

 

しかし現在、公務員をはじめとしてほとんどの企業においてボーナスは年に数回、金額の変化はあれども制度的に「決まった時期に出されるもの」というイメージがありますよね。

 

それまであくまでも臨時に、時期を問わず支給されるものであったボーナスが、年に数回確実に支払われる定期的なものとしてみなされるようになった。

 

ならば月々の給与と同じような収入として考えられますよね。

 

ということになり、これがボーナスにも社会保険料などが課されるひとつの理由となったのです。

 

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ボーナスに税金が掛かる理由 制度改正の本当の目的とは!?

もともとボーナスからは「特別保険料」というボーナスの金額の1%が引かれていました。これは月々の給与から社会保険料が引かれていることを考えると、とても低い税率です。

 

なので、会社側が「毎月の給与の額を減らして、その分賞与を上乗せする」という形式をとり、社会保険料を合法的に減らすような手段が存在していたのです。

 

これでは社会保険料が正当な額として入って、社会に還元されてゆく流れを作れません。

 

これもまた、ボーナスからも社会保険料という形で徴収されるようになる理由のひとつとなりました。

 

そしてまた、一般的に、月々の給与の額が多い人ほど賞与の額も多い傾向がありますね。

 

ですので、給与からだけ社会保険料を徴収するようにしている場合、例えば年間の所得は

 

  • 月給(-数%~10数%の社会保険料や所得税など)×12回
  • ボーナス(-1%の特別保険料)×2回

 

というような具合になります。

 

しかしこの場合、所得全体の額が少ない人ほど、高い人と比べて「所得額全体における保険料負担の割合」が高くなってしまうという現象が起きてしまうのです。

 

ですから、ボーナスからも社会保険料分を徴収することによって、「負担の不公平感をなくそう」という動きが出始めました。これもまたボーナスから社会保険料が引かれる理由となったのです。

 

このように実に様々な理由がありますが、結局のところこの制度が改正されたのは、「労働者間で負担の多寡に不公平がなくなるように」「労働者全員で社会をまわしてゆくために」という目的のためなのです。

 

そのために「総報酬制」という制度を2003年の4月から導入して、ボーナスにも社会保険料や所得税をかけることになったのですね。

 

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ボーナスの税金の計算はだいたい総支給額の80%が手取り額になる!

ボーナスから色々と引かれてしまって、いったいどれくらいの金額が入ってくることになるのか。一番気になるのはそこですよね。

 

もちろん給与や賞与の金額や勤務先、職種、家族を扶養しているかどうか、また住んでいる都道府県によっても社会保険料の率や金額が変わります。

 

ですから本当にざっくりとした感じで、人によってかなり異なる可能性はありますが、

 

「ボーナスの手取り金額は、ボーナスの総支給額のだいたい80%くらい」というのをひとつの目安にしておけば良いのではないかと思います。

 

実際に2003年4月以降、ボーナスから引かれるようになったのは、基本的には給与と同じ「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「所得税」です。

 

簡単に目安となる計算をしてみますと、このようになります。

 

まずは「標準賞与額」からです。

日本年金機構ホームページの中の「厚生年金保険の保険料 3.標準賞与額」を確認すると、

(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-01.html)

 

「標準賞与額」はボーナス総支給額から1000円未満を切り捨てた金額のことです。

150万円が上限となり、この金額が保険料などを計算するときの基準の額になります。

 

そして、

 

「健康保険料」=「標準賞与額」×保険料率÷2

「厚生年金保険料」=「標準賞与額」×18.3%÷2

 

このふたつは、雇用主(会社など)と労働者で折半されるため、2で割ることになります。

そして厚生年金保険料の18.3%という数値は、日本年金機構ホームページの「厚生年金保険料額表」で確認できる、現在固定されている保険料率です。

(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/index.html)

 

さらに、

 

「雇用保険料」=「ボーナスの総支給額」×0.3%

 

こちらは厚生労働省の「令和3年度の雇用保険料率」を参考にしました。

一般的な事業では0.3%ですので例としましたが、農林水産、清酒製造、建設業などでは0.4%となります。

(https://www.mhlw.go.jp/content/000739455.pdf)

 

これら「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」を合わせて「社会保険料」とします。

 

次に所得税の計算をします。

 

「所得税」=(「ボーナスの総支給額」-「社会保険料」)×5%

 

今回はざっくりとした計算なので、国税庁ホームページの「速算表」を使用しました。

(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)

1,000円~1,949,000円までが税率5%とされますので、それをもとにした計算式です。

 

以上でだいたいの、「社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)」と「所得税」の金額が出ました。

 

「ボーナスの総支給額」-「健康保険料」-「所得税」=「ボーナスの手取り額」です。

 

最初に、ボーナスの手取り額は総支給額の80%程度を目安、と書きました。

 

しかしこれらの税率は金額が大きくなるほど一緒に上がってゆくために、総支給額が大きい場合や、扶養親族がいない場合などには総支給額の70%程度になったりもしますので、あくまでも目安の金額としてください。

 

まとめ

2003年4月から、ボーナスにも社会保険料や税金がかけられるようになった「総報酬制」。

ちょうどその当時、私も勤め人をしていました。

しかも人事部という、まさしく給与や賞与に直にかかわる部署…

 

まだペーペーだった私は、単純な入力作業をしたり、社会保険関連にしても産育休に伴う手続きや、もっと身近なマタニティ制服を管理したりするような雑事を行っていましたが、上司らが制度の変更に伴う様々な手続きやシステム変更に忙しくしていたのを覚えています。

 

(しかも当時は移行期間として、現行の総報酬制になる前の緩和措置がとられていました)

 

そして部署の電話を取るのも私の仕事のうちですから、社内電話での「なんかボーナスの額が変なのだけど?」という問い合わせに答えることもありました。

「今回の賞与から税制などが変わりまして…」と、いったい何回返答したことか。

 

この制度が導入される前の告知は、すでに1年ほど前から何度か社内報などでお知らせはしていましたが、実際にどうなるかは賞与が払われて社会保険料や所得税が引かれていないと、実感できないものですよね。

 

実際私も、そうした電話の問い合わせに答えているうちに、多少は知識を身につけられたようなものですから、人のことは笑えません。

 

そして今後も、まだ何らかの形で制度が変わることもありえます。

そのときにはさすがにもう突然のことだとうろたえたりしないように、ニュースなどの報道をチェックしておこうと思いました。

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